ことりの小噺
Short Stories

南の島の猿のお話

 南の島に猿が住んでいました。自然に恵まれたその島では、手を伸ばすだけで新鮮な果物を手に入れることができました。その猿の食卓は毎日楽しい食卓でした。ところがある日、その島を強い台風が襲い、身近にある新鮮な食べ物は全滅してしまいました。猿は、今まで行ったこともない島の奥深くまで入り、食べ物を探しまくりました。次の日やっと、半分だけ食べられそうなパイナップルを見つけることができました。そのときの猿の気持ちは、「楽しい」ではなく「喜び」だったに違いありません。

 楽は「らく」とも読みます。簡単に手に入ることは、楽しいけれども喜びにはなりません。努力することから、喜び(=やりがい)が生まれてきます。努力することなく、やりがいを感じる充実した毎日を送ることはできないでしょう。

鈍癡呆亭